どうする、そのハラスメント相談!?

こんにちは。

新潟県三条市のひめさゆり法律事務所です。

 

労働施策総合推進法が改正され、2020年6月1日より

会社・事業主は、ハラスメント対策を講じる義務を負うことになりました

(中小企業は2022年4月から)

 

そこで、会社・事業主が、社員からパワハラやセクハラ被害の相談や申告を受けた場合の対応をQ&A形式で紹介します。

 

Q1 被害申告や相談を受けた場合、必ず調査をしなければならない?

被害申告や相談を放置して状況が悪化した場合、会社が負う責任はより大きなものになってしまいます。

また、万が一悪質な虚偽申告である場合には、申告してきた社員への処分も検討する必要があります。

 

よって、基本的には必ず調査をする必要があります。

「基本的には」というのは「上司と廊下で1回偶然ぶつかった。痛かったからその上司からのパワハラだ」といった、取るに足らないような申告の場合は調査不要です。

 

Q2 調査の方法はどうしたらよい?

メール、LINEや動画データ、音声データなどの証拠となりうる物があるのかを確認します。

ある場合は、その内容をチェックします。

また、①申告者、②目撃者などの第三者、③加害者として申告されている者から聞き取り調査を行う必要があります。

 

Q3 聞き取り調査の順番はどうしたらよい?

①申告者(被害者)

   

②目撃者などの第三者

   

③加害者として申告されている者

 

の順番で聞き取りをするのが基本的なルールです。

 

Q4 会社側の聞き取り調査担当者は誰にする?

複数人でも構いませんが、同じ担当者が①申告者、②第三者、③加害者として申告されている者の聞き取りを担当した方がよいです。

ただし、あまりに多い人数にして、威圧的にならないように気を付けてください。

また、女性からの聞き取りを行う場合は、聞き取り担当者に女性を入れるなどの配慮を行ってください。

 

聞き取りを顧問弁護士にお願いすることも有効な手段です。

 

Q5 会社は聞き取り調査を録音することはできる?

聞き取り調査の冒頭、聞き取り対象者に「録音します」と伝えてICレコーダーなどで録音するのがよいでしょう。

ただし、セクハラが疑われる事案等では、録音すること自体が被害者への心理的負担を増大させてしまう可能性が高いので、録音の要否を慎重に検討する必要があります。

 

Q6 聞き取り対象者が録音したいと言ってきたらどう回答する?

聞き取り対象者に対しては

「会社側で録音し、それをもとに聞き取り内容のメモ・議事録を作成し、あなたに内容を確認してもらいます」

と伝え、録音を断ってください。

 

ただし、聞き取り対象者があらかじめポケットやカバンにスマートフォンやICレコーダーを入れて録音している可能性がありますので、

会社側も、後々「聞き取りの様子が威圧的で、むしろこちらがパワハラを受けた」というクレームが出ないよう、聞き取り調査時の口調や発言内容には十分気を付けてください。

 

Q7 聞き取り内容をまとめた書面を作成する必要はある?

将来、万が一裁判になった場合、特に加害者として申告された者から「聞き取り調査の際にはそんなこと言っていない」と言われたら困ります。

そのようなことを防ぐため、聞き取り調査が終わった後には発言内容をまとめたメモや議事録を作成して発言者本人に確認してもらい、署名押印をもらうようにしてください。

 

Q8 聞き取り調査が終わった後にすることは?

まずは①事実認定です。メール、LINE、録音・録画データなどの証拠と聞き取り内容をもとに、相談・申告内容が真実であるのかどうかを確定します。

 

相談内容・申告内容が真実である場合、又は100%一致しなかったものの何らかの非違行為が認定できた場合は

②加害者に対して処分をする・しない、③加害者を処分する場合は、その処分内容を検討・判断する必要があります。

 

また、④再発防止策の検討・導入も必要です。

 

おわりに

弁護士は、ハラスメント調査について

① 調査の要否の検討

② 聞き取り対象者の選定

③ 聞き取り調査の実施

④ メモ・議事録の作成

⑤ 事実認定

⑥ 適切な処分内容のアドバイス

など全ての段階で適切なサポートを提供することができます。

 

従業員からハラスメント相談・申告を受けた場合は、まずは弁護士にお問い合わせください。